今年もやってきた俺たちの文房具夏フェスことISOT(国際文具・紙製品展)2017。
会場レポートの2日目は、大手メーカーブースの「これ、欲しい!」的新製品を中心にレポートしたい。
欲しさのあまり、取材時には各ブースで「もー、いいから早く発売してよ!いつ?…明日?明後日?」みたいなゴロを巻いてしまったことをここでお詫びしておく。

 

文具大賞グランプリの超切れはさみ

本年度の日本文具大賞 機能部門でグランプリを獲得したのが、カール事務器の『Xscissors(エクスシザース)』。こちらはすでにテレビのニュースなどでも取り上げられており、どんなものかもう見た、という方も多いだろう。

「切り“落とす”」を商品コンセプトに作られた、とにかく良く切れるはさみである。
一般的なはさみの2倍の厚さ(約3㎜)のステンレス鋼板を使用。あまりに分厚いので型では抜けず、やむなくレーザーで抜いているとのこと。で、その分厚い鋼板を刃物メーカー 貝印の職人が一本一本水研ぎ作業で丁寧に刃付けしているというから、やたら手のかかった仕様である。結果、1本7,000円+税という高級品になってしまった。

よく見るとハンドルの後ろからステンレス鋼板がちょろっとのぞいている。つまり刃からハンドルまで一体で作られているわけで、これはカールからの「ウチのは剛性もやたらと高いんですよ。ぐっと力を入れて握れますよ」というアピールだろう。

実際に使ってみると、もう「ズパッ」という擬音が最適なぐらいに良く切れる。普通のハサミではまず難しい1㎝角の棒状フエルトが刃先だけでズパッ、だ。
これは間違いなく刃厚と高剛性が効いているのだが、切りにくいものを切ったときに刃先がぐにゃっと逃げる感じがしない。手でハンドルを握る力がそのまま刃に伝わっているのが実感できる。
また、刃の切れ味が高いので、柔らかすぎて切りにくい布やフィルムなんかもズパッと切れる。まさに万能切れ味はさみといったところである。高いけど、早く欲しい。

カールブースでは、もうひとつ切れ味アイテムが展示されていた。
ロータリーカッターの「XTRIMMER(エクストリマー)」だ。

従来のロータリーカッターというのは、丸いロータリー刃を転がして紙を切るタイプの断裁機なのだが、さすがカールが「エクス」の名を冠するだけのことはある。
紙を切るどころの話じゃない、もう、何でも切れちゃうのだ。

布やスチロールボード、ゴムシート、プラダン(プラ製の段ボール)、絨毯まで、恐ろしい勢いで切れる。刃を押しつけてスルッと滑らせるだけで本当に気持ちよく切れる。しかもマックスで8㎜厚の素材まで切れてしまうと言うから、とんでもない話だ。。
ぶっちゃけ、ここまでくると文房具カテゴリではなく、工具に近い。内装業者の人とかこれを現場に持ち込んで作業するといいんじゃないだろうか。

それだけの厚さのものが切れるということで、カセット式のロータリー刃も巨大。写真左が従来のロータリー刃で、右がエクストリマー用。従来の倍以上の直径60㎜というモンスター刃である。これで厚みのある素材にもがっつり食い込んで断裁するわけだ。

ただし、やはり高い。500㎜(A3長方向)まで切れるサイズが50,000円+税、一番大きい1250㎜(A0長方向)対応は150,000円+税。価格もモンスター気味である。でも欲しい。使い道思いつかないけど。

今回のカール事務器において、エクスシリーズと並んでもう一つの目玉だったのが、『カレンダー手帳』。

こちらは、弊サイト連載『文具ソムリエール 菅未里の文具相談室』でもお馴染み、文具ソムリエール菅さんがプロデュースした新しいタイプのモバイル手帳だ。
ビジュアルにこだわる菅さんが手がけたシリーズだけに、外張りは英国リバティ社製のおしゃれなファブリックを使用(無地黒もあり)。留めているリングは開閉できるので、中のリフィル(A5ルーズリーフ)は入れ替え可能となっている。

そしてなにより、このように開いて置けばその名の通り卓上カレンダーとして使えるというもの。
オフィス内での大まかなスケジュール管理はデスクの卓上カレンダーで…という人も多いだろう。それをいちいち手帳に書き写すぐらいなら、卓上カレンダーそのものを持ち歩いてしまえ!という、豪快ながら合理的なアイデアである。

ノートの端を留める帯紐を引いて縮めると、置いたときに開ききらないよう固定するストッパーになる、というのも、なかなかよく考えられている。

 

こちらもカレンダーになる手帳

一方、LIHIT.LABでも同じように卓上カレンダーに変形するノート『卓上カレンダーにもなるダイアリー』を発表していた。

サイズはA5とB6の2展開。リングはLIHITお得意のツイストノートタイプとなっているので、こちらも開閉してリフィル(国際標準1/3インチピッチ。一般的なリングノート規格)を差し替えて使うことができる。

で、開いて置くとこの通り卓上カレンダーに。
カレンダーリフィルは、マンスリーとガントチャートを備えているので、プロジェクト管理もやりやすい。

ちなみに、カールは立てて置いたときに開きすぎないよう紐で固定していたが、LIHITはもう少しシンプルに「表紙の端に滑り止めをつける」ことで解決。これでも充分に機能してくれる。

ほぼ同時に発表されたカールとLIHITのカレンダー変形ノートだが、カールの方が重厚感があるのに加えてリングが大きいので、卓上カレンダーとして使いやすい。一方LIHITは軽量コンパクトで手帳としての持ち運びに優れる。
カレンダー優先のカールか、手帳優先のLIHITか。自分がどちらの使い方がメインになるかを考えれば選びやすいだろう。

また、文具大賞で機能部門優秀賞を獲った『AQUA DROPs クリップファイル』は、A5サイズに加えて新たにA4サイズがラインナップ。軽量で立ったまま筆記を続けても手が疲れない優秀なクリップボードなので、A4サイズを持ち望んでいた人は多いはずだ。

あと、個人的に「ほほう」と感心させられたのが、リングファイルの新しい開閉機構。
LIHITはこれまでにも、押すだけで開閉するワンタッチZ式ファイルなど優秀な綴じ機構を開発してきたが、これもまた良くできている。

大量の書類をまとめてファイルできる、ごつくて固いリングが…

中央のレバーをひねるだけで”つるっ”と滑るようにスムーズに開くのだ。
これだけ大きいリングになると、なかなか開けるのにも力が要るものだが、この新しい機構なら本当に片手の指2本で”つるっ”だ。
ただ、ひねって開けるリングということで、機構の名称が「ツイストリング」というらしい。
LIHITのツイストノートが以前まで「ツイストリングノート」という名前だったので、かなりややこしい。もうちょっと違う名前にしてくれた方が、紹介するときに助かるのだけど。