森市文具概論

特集【文房具メーカーオフィス探検】コクヨ(後編)そこにモバコ、あそこにもモバコ

  • 2018年07月27日

文房具・家具など広く手がけるコクヨのオフィスは、自社の製品を社員自らが使用し、その運用方法まで含めて社外のお客さんに見てもらう、いわば生きたショールーム…“ライブオフィス”となっている。
働き方改革が叫ばれる昨今、20年以上前からフリーアドレス制を導入するなど、常にオフィス運用の最先端を行くコクヨでは、いま、どのような働き方が提案されているのか?

2018年2月にリニューアルされたばかりのコクヨ霞が関ライブオフィスを、コクヨマーケティング営業部の駒野さんに案内してもらってきた。

写真右側のふわふわした棚は前回参照で。後編は左側のロッカーからスタート。

前編では、初めてフリーアドレスを取り入れた人総経エリアや、コミュニケーションがとりやすい棚、さらにゴミが放置されないシュレッダーの運用などを見せてもらった。
さて、この後編ではどんなことを紹介してもらえるのだろうか。

 

最適なツールで整理すれば、スペースはこれだけで充分

駒野「フリーアドレス制には欠かせない、個人ロッカーも見ていただきましょう」

言うなり駒野さんがロッカーを開けたのでちょっと驚いたが、ここはデモ用の「見せロッカー」とのこと。

正直言うとロッカーの中は、あれ、こんなもん?というぐらいに省スペース。ハムスターのケージだってもうちょっと大きいのあるぞ。

駒野「使ってみての実体験なんですが、ロッカーはこれぐらいがいいです。以前のオフィスではロッカーがもうちょっと大きかったんですが、どうしても中に書類を溜め込んじゃう。このサイズだと常に不要な書類を整理して捨てていく意識になるので、逆にスッキリと片付きますね」

ロッカー内部はモバコ1つとファイルボックスが最大3つ収納可能。不安を覚えるサイズだが、実はこれで必要充分とのこと。

駒野「グレーのフェルトっぽいのが、ノートPCや文房具などを社内で持ち運ぶ用のバッグで『モバコ』といいます。社内のあちこちで使われていたのでもうご覧になっているかと思いますが、これが個人用のツールコンテナですね」

あ、そういえば見た見た。あちこちのデスクに置かれていた。

コクヨの社内中で使われているモバコ。自立するので、フリーアドレス机の仕切りのようにも使われていたのが面白い。

駒野「個人ロッカーというのはもともと弊社のオフィス家具としてあったんですが、それに合わせてノートPCなど必要なものを持ち運ぶために文房具の担当と一緒に開発したのが、このモバコです」

オフィス家具系と文房具系の融合によって生まれた製品というわけだ。
どちらもやっているコクヨならではのアイデアということだろう。

次の棚は防災用品のストッカーを拝見します。

駒野「弊社では『PARTS-FIT』という防災用品もやっておりまして、文房具と家具のノウハウを活かしてかなりコンパクトにストックできるんですよ」

気持ちいいぐらい無駄なくピターッと収まった防災用品。これいいな。

駒野「モジュール化された防災用品ケースが棚にキチッと収まるので、この1棚だけで30名1日分ですね」

東日本大震災以降、どこの会社でも本格的に防災用品の備蓄には取り組んでいるという話は聞くのだが、あれ、やたら場所を取って邪魔なのだ。
しかし段ボールを規格化するだけで、こんなにスッキリ片付くのか。日常的には不要なものだけに、目立たないところでコンパクトに収納できるのはとにかくありがたい。

 

霞が関ライブオフィスのコンセプトは「セッション」

さて、次はいよいよ霞が関ライブオフィスの象徴であり、全体コンセプトを体現したエリアでもあるセッションエリアだ。
位置的には、オフィスの中央にあるスペースとなる。

かなり広々としたセッションエリア。

「セッション」とは、部署に関係なくいろんなメンバーが集まり、お客さんにどんな提案ができるのかを自律的に考えて協業していく、ということ。
これにより提案の質が高まり、よりスピーディーな対応もできるようになる、とコクヨは考えているのだ。
全体が9分割されてデスクと椅子が配置されたエリアは基本的に予約無しで使用OKとなっており、常に何らかの打ち合わせやワークショップが行われているという。

パーテーション兼ホワイトボード兼エリアマップ。

駒野「壁も何もないスペースなんですが、ホワイトボードが天井のフレームから吊り外しできますので、それを間仕切りに使うこともできます」

パーテーションで細かく区切られたミーティングスペースと違って、これなら人数や時間を気にせず集まることができそうだ。
こういう小回りの利く感じが、セッションというコンセプトにマッチしてるのだろう。

へー、面白いなー、と言いつつホワイトボードの裏に回ると、またありました、モバコ。

ほんと、コクヨ社内のいたるところで見かけるモバコ。

このモバコには、セッションエリア用のホワイトボードマーカーやクリーナーといった会議セットが収納されていた。
なるほど、ノートPCなど個人用のツールだけでなく、共用品のコンテナとしても小回りが利く感じでいいかも。

 

設計エリアも工夫があれこれ

セッションエリアを抜けると、次は設計部門のエリアとなる。
ここは腰を据えて仕事をする人が多いからか、営業部門のエリアと比べると落ち着いた感じがする。
壁面に資料が並んでいるからか、ちょっとした図書館的な雰囲気もある。

設計部門のエリアはロッカーに代わって資料用の棚がずらり。

駒野「席にはスペースが無いので、設計関係の資料は全部この棚に集約されているんです。資料類は基本的に持ち出し禁止なので、ここで読むためのテーブルも用意してあります。このテーブルを使ってちょっとした立ちミーティングをしている人もいますね」

あれ、よく見たらここにもあったぞ、例のヤツ。

ここにもモバコ!モバコ好きすぎだろ!

棚1段にモバコがキッチリ3つ。開いてみると、どうやらここのやつはOAクリーナーなど掃除道具が入っている様子。

駒野「常に周囲をきれいにしましょう、と言うことで週に一度お掃除タイムがあるんですが、これはその掃除用道具のコンテナですね」

コクヨ、自社製品のモバコをどれだけ愛してるのか。こうなってくると全ての空間がモバコ準拠で作られているようにすら見えてくる。

 

気分転換はカフェ風で

設計部門を過ぎると、ついに最後のエリアに到達。
扉で仕切られた先に入ると、さらに雰囲気がガラッと変わってカフェ風のおしゃれげな場所になった。

カウンターキッチンまであって、まんまカフェだ。

これまでずっと「オフィスです!」的な活気のある空間だったのが、壁一枚隔てて突然のリラックスムードである。

駒野「ここからはSwitchというエリアになります。気分転換する場所ですね。気分を変えて仕事をするのに使ってもいいし、休憩してもOK。ただ、ランチタイムの時間帯だけは食事優先になるので、仕事をしてはいけないことになってます」

社内でザ・トースターも使い放題。パン食べたい。

ひょいとカウンターキッチンの中を覗くと、置き菓子などと一緒にバルミューダの『ザ・トースター』が!2万円以上する超高級トースターである。

駒野「ここでパンを焼いて朝食を摂る人もいるらしいですよ」

そんなの有りなのか。羨ましい。パン食べたい(取材時は夕方で、そろそろ空腹感が高まってた)。

 

ということで、これにてコクヨ霞が関ライブオフィスの見学ツアーは終了!

とにかくやたらと見応えがあった印象で、ザッと駆け足で回ったはずなのに、気がつくと1時間30分の取材となった。

駒野「本来のライブオフィス見学はだいたい1周40〜50分のコースで見ていただけるようになってるんですが、今回は取材ということでちょっと時間がかかりましたね」

観葉植物(本物)がど真ん中から生えてるかっこいい長机。

コクヨ霞が関ライブオフィスを見せていただき、とにかく驚いたのは、「運用で仕事を回す」という意識が徹底されている、ということだろう。
例えばオフィスの課題を解決しようと道具や家具を導入しても、ルール無用で使っていてはあまり意味が無い。そこで社員が“どう使うか”というルール決めがあって、はじめて製品そのものの効果が発揮されるのだ。

しかし、単に「ルールを決めました」というだけでも、それが守られているかどうかを監視しつづけるコストがかかってしまう。
そこで、社内の誰もがルールを守りやすくする(守る意識を高める)ために必要となるのが、ライブオフィス内で重視されている運用の部分なのだと思う。

コクヨ社内におけるツール運用のキモ、モバコ

駒野「そうですね。なので、弊社へ見学に来ていただいたお客様には、コクヨ製品を見てもらうというより、どう使われているか、どう使うのが効率いいのか、といった部分をご提案させていただいてます」

例えば、社内の備品が散らばって片付かない、という場合なら、単に「片付けましょう」というルールを制定するだけではなく、まず備品を収納してコンパクトに片付く『モバコ』を導入し、さらに「備品の入ったモバコはここに収めてください」という住所を定めて、誰でもひと目で戻し場所が分かるようにする。
一つ一つはささやかかもしれないが、こういった小さなことまでシステム化するノウハウこそが、コクヨの提案の真骨頂なのだろう。

これにて取材終了!お仕事中にお邪魔しました。

コクヨさん、アテンドしていただいた駒野さん、ありがとうございました!

取材協力 コクヨ/コクヨマーケティング 霞が関ライブオフィス