森市文具概論

特集【文房具メーカーオフィス探検】三菱鉛筆(前編)エントランスは(ほぼ)三菱鉛筆記念館だった

  • 2018年11月01日

突然ですが、クイズです。
ここはどこの文房具メーカーさんちでしょうか?

ヒントは、エントランスに配置されているソファです。
これ、なんか見たことあると思いませんか。

エントランス入ってすぐに、明らかに既視感のあるソファがお出迎え。

はい、正解はこれです。
三菱鉛筆の水性マーカー『ポスカ』のキャップ。

ポスカキャップの頭んとこ!

ということで、クイズもなにも記事のタイトルにあるまんまなんだけど。
ということで今回の文房具メーカーオフィス探検は、2018年8月にオープンしたばかりの、できたてホヤホヤな三菱鉛筆新社屋にお邪魔しております。

2016年に旧社屋を解体。そこから約2年の工事期間を経て完成したのがこの新社屋なわけだが…さすがにピカピカだ。
前面はほぼガラス張りで、やたら輝いててカッコいい。

パッと見は博物館っぽい雰囲気もある新社屋。

小笠原「ありがとうございます。ぜひ内部もゆっくりと見ていってください」

ということで、今回は三菱鉛筆広報の小笠原さんに社内をご案内いただきます。
小笠原さん、よろしくお願いします。

広報小笠原さんのバックには、uniの100色色鉛筆(実物)がグラデーションでずらり。

さて、いきなりポスカなベンチでテンションが上がってしまったが、どうもこのエントランスホール、仕掛けはそれだけでは無いっぽい。
小笠原さんのバックに並んだ美麗な100色色鉛筆もそうだし、他にも受付のアクリルケースで鉛筆が展示されているんだけど、よく見ると…

この倍率だとよく分かんないな。ずーっと近寄っていくと…

歓迎のメッセージが!鉛筆の芯を彫って!

おおおおお。マジか。
さらによく見ると…

シャープペンシルの芯まで!

おおおおおおおおお、ウソだろこれ。

小笠原「私も最初は「ウソだろ…!」と思いました。台湾を代表するペン彫刻家の李 建竹さんに特別に製作していただいた作品なんです」

鉛筆彫刻、というのはこれまでにも何度か見たことあるけど、さすがにシャープペンシルの芯彫刻は初めて。というか、そもそも彫れるもんなのか。
確かに鉛筆メーカーが飾るのに相応しいオブジェだけど、虫眼鏡で見ないと分かんない、というのはやり過ぎじゃないのか。

 

uni-Lounge、ずっと見てられるぞ!

超絶技巧の鉛筆彫刻で早くもお腹いっぱい感はあるが、改めて周囲に目をやると、やっぱりまだこれだけじゃ終わりそうにないっぽい。

小笠原「こちらのエントランスはuni-Loungeと申しまして、お越しのお客様が弊社の商品とその情報に触れていただける場所となっています」

あー、これ、たぶんアレだ。三菱に打ち合わせに来たとして、受付待ちしてる間にこれじっくり見てるだけで時間は確実に潰れるし、なんだったらアポほったらかしにしてずっと見てられるレベルのやつだ。

残念ながらこれらは一般公開はしていないということなので、見に来られない人のために、どんなものが展示されているのかざっとご紹介しておこう。

知識として知ってはいても、軸材の溝に芯が入ってるところとか実物見たことない人も多いんじゃないか。

まずは鉛筆。黒鉛と粘土を焼き固めて芯を作るところから、軸木を作り、芯を入れて貼り合わせてお馴染みのユニ鉛筆完成!ということろまでの流れが紹介されていたり。

世界最多・22硬度のハイユニ展示。置いてある試筆用紙をよく見ると…

10Hから10Bまでで塗り分けるカーボンブラックぬり絵!

小笠原「こちらは最も芯が硬くて薄い10Hから最も柔らかくて濃い10Bまで、22硬度のハイユニも並んでいます。硬い方から順に10HからH、Bから10Bの合計20段階に加えて、真ん中にF(Firm=しっかりしたの意味。HとHBの間)とHBが入って合計22硬度、ですね。これは世界最多なんです」

この鉛筆の段階、JIS規格で規定されているのは9Hから6Bまで。それ以上はメーカーごとのオリジナル規格となるのだが、海外などの有名鉛筆メーカーでも濃い方で作っているのはだいたい8Bどまりだ。
10Bまでくると世界でもあまり作られていない超オーバースペック製品であり、結果として22硬度までズラリと揃っているわけだ。

 

巨大ボールペンのボールと、巨大クルトガ

こちらは、ボールペンのコーナー。社名こそ「三菱鉛筆」だが、今や認知としてはジェットストリームやシグノなどボールペンの印象が強いのではないだろうか。

ちゃんと手でゴロゴロ転がせる90倍ペン先のボール。

で、展示でいきなり目を引くのが、ボールペン先端の90倍拡大模型。
こうやってみると、なるほど、当たり前だけど本当にボールが入ってんだな、という感じ。

こちらも普段はまず目にする機会のない、ボールの瓶詰め。

小笠原「その隣に並んでいる容器には、本物のボールペン用ボールが入っています。超極細の0.28㎜から太字1.0㎜まで、弊社のペンに入っているものです」

この1瓶に0.28㎜のボールが24万粒!

見比べると、この差はすごいな。1.0㎜ははっきりとボールだなーと分かるけど、0.28㎜は完全に砂。
これが同じ「ボールペン」というカテゴリに入っているのが不思議なぐらいだ。油性マーカーとガラスペン、ぐらいに別物の筆記具なんじゃないのか。

次は、中高生の認知率100%という驚異のシャープペンシル、クルトガの展示だ。

普通のシャープペンシルとクルトガ、パーツ数の違いを展示。確かに、細かい部品がいっぱい入ってんなー。

小笠原「クルトガは一般的なシャープペンシルのの倍以上…22個もの全パーツで構成されているんです。ここではその全パーツを分解した状態でお見せしてるんですよ」

さらに見応えがあったのは、クルトガ拡大モデル。
クルトガは、書く度に芯が少しずつ回転して先端を尖らせるので、筆跡が常にシャープ!というものだが、なんとこの拡大モデルも実物通りに芯が回転するようになっているのだ。

オレンジ色のパーツに注目。芯が紙面に当たるたびに少しずつ回転している。

巨大クルトガが実際にガチョンガチョンと動いているのを見るのは。なかなかの迫力である。

 

白髪はポスカ(的なもの)で染められている

もうひとつ、筆記具じゃないものが並んでいるテーブルがあるんだけど、これはなんなんだろう?

小笠原「弊社では、文房具のノウハウを活かして文房具じゃないものも新規事業として取り組んでいます。カーボン技術はもちろん鉛筆芯の技術の派生ですし、あとは化粧品も作ってます。例えばこれ、白髪隠しの容器なんですが、先端の白いパーツにある文房具の技術が使われています」

白髪隠しの容器も文房具の技術で作られている。

なんと、まさか白髪隠しを三菱鉛筆が作っていたとは知らなかった。そしてこの先端…確かにどこかで見たような気がするんだけど…

小笠原「実はこれ、ポスカなどサインペンの芯(チップ)の技術で作ってるんですよ」

へー!!なるほど、マーカーの先端からインクが出てくる代わりに、白髪染め液がじわっと出てくるわけか。これは知らなかった。

小笠原「化粧品事業はOEMなので、お客様の要望によって容器だけだったり、あるいは完成品まで作ることもあります」

 

 

…と感心したところで、そろそろページも尽きて三菱鉛筆新社屋の探検記前編が終了。
なんと新社屋見学の取材に来て、前後編の半分が社内に入る前のエントランスで終わってしまった!

小笠原「では、そろそろ社内の方もご案内しましょうね」

はい、よろしくお願いします。

 

ということで、今回はここまで!
次回はいよいよ三菱鉛筆新社屋の中にお邪魔します。
出来たての新社屋、内部はどんな感じなのか?
三菱鉛筆オフィス探検、後編をお楽しみにー。