森市文具概論

特集【文房具メーカーオフィス探検】三菱鉛筆(後編)社内の壁が(まるで)鉛筆の軸材に見えたんですが

  • 2018年11月01日

文房具メーカーのオフィスにお邪魔する探検記事の第2弾(第1弾はコクヨ霞が関ライブオフィス)として、2018年8月にオープンした三菱鉛筆の新社屋に伺ってみた…はず…なんですが。
なんと前後編記事の前編が、オフィスに入る前の、uni-Loungeと名付けられたエントランスだけで終わってしまったという衝撃の事態に。
なんせ展示物がやたらと見応えがあるもんで…。

階段脇のドシンとデカい木材はインセンスシダー(鉛筆の軸材)。年代物なので、嗅いでももうあの鉛筆の香りはしない。

三菱鉛筆広報 小笠原「いえ、まだご紹介できてないものもあるんですよ。ほら、こちらには歴代uniのケースや古い広告が展示されていたり。あと、このタッチパネルでは弊社の歴史や、過去に商品の付録として人気だったノベルティの資料なんかが見られたり…」

歴代uniダース箱や、古い広告なども。

どの時代のオマケに反応するかで、だいたいの世代も分かる。

あっ、たこ焼きスタンプ消しゴム、あったなー。かみつきばあちゃんイレバァ5とか、三菱の替芯を買うとスピードくじで当たったんですよね。うわー懐かしい(キリがない)。

 

社内もやっぱりピカピカできれい

ということで三菱鉛筆新社屋探検、後編も広報の小笠原さんにご案内をお願いします。

小笠原「よろしくお願いします。あ、きだてさん、よろしかったらお水どうぞ」

さすが新築だけあって給水器も最新のカッコいいヤツ。

あ、ありがとうございます。ところでいきなり場所が変わりましたが、ここはどちらでしょうか。

小笠原「ここは社屋の5階にあたります多目的ホールですね。ここで打ち合わせをしたり、お昼はランチを食べたりします。あと、夜は社員同士でちょっとした催しをやることもありますね」

なるほど、かなり広々とした場所である。そして、天井がダクト丸出しになっていたりと、オシャレ場っぽい雰囲気だ。“景気の良いITベンチャーのオフィス”感あるな。

小笠原「すいません、その感じはよく分からないですけども。あと、プロジェクターも使えるので、社内の催しで動画を流したりもできるんですよ」

それにしても、なんでいきなりエントランスから5階の多目的ホールに飛んだんだろう。

小笠原「…すいません、私どもが仕事をしている3階〜5階のオフィススペースは原則的に関係者以外立ち入り禁止なので、取材もNGなんですよ」

ここから先は執務エリア。残念ながら中は非公開。

なるほど、諸々の事情というやつですね。了解しました(見たかったけど)。
そういうことであれば、次はどちらに行きましょうか?

小笠原「では、いったん1階のロビーに戻りまして、2階のホールをご案内しましょう…あっ、そうだ、その前にこれもご紹介したいです」

一瞬、ダンジョンの宝箱かと思った。

…と小笠原さんが立ち止まったのは、エレベーターホール。
なにかウッディな塊がゴロンと置いてあるんだけれど、これは?

小笠原「実はこの敷地内には桜の木があったんですが、社屋建設の際に一部を伐採せざるを得なくて…そこで、その切った桜を使ってベンチを作ったんです。木材の感じを活かすように製材してあるので、触ると桜の木肌が感じられますよ」

土地の記憶を残すオブジェですね。せっかくなので座らせていただこう。
しかし、いま座ってる足元から火を付けたら、僕が桜スモークの燻製になるな。

小笠原「(無視して)では次、行きますね」

 

鉛筆の軸材に見えるの、意図してやってるよね?

さて、再びエントランスに戻って来た。この大階段を昇ると、2Fが大きなホールになっているとのこと。

ところでさっきからずっと気になっているんだけど、社内の壁面って、もしかして鉛筆のスラット(鉛筆の軸となる木材)をイメージしているんじゃないだろうか。

ほら、見た目的にも芯を入れる溝が彫ってあるっぽいし、大ホール入口ドアのバーハンドルはどう見たって鉛筆の芯だ。
さすがは鉛筆メーカー、こういう細部にまで自社製品モチーフが施されているんだな。

バーハンドルもわざと黒のやつ使ってるでしょ

小笠原「あの、そういう意図があるとは聞いたことないので、違うと思うんですけども…」

あ、違った。

小笠原「外観がガラス張りでシャープな印象なので、内装は木材であたたかみのあるデザインにしてあるんです」

えー。でもどう見ても溝切ったスラットなので、僕の中では「三菱鉛筆新社屋の壁は鉛筆スラットがモチーフ」ということにしておきたい。
でなければバーハンドルをわざわざ黒一色にしないんじゃないか。
あと、エレベーターホールに大きな柱があったんだけど、あれだってやたら太い鉛筆芯に決まってる。

鉛筆の芯換算で言うと60,000Hぐらいの硬さだろうか。

鉛筆の芯ことバーハンドルの扉(映画館のような二重扉になっている)の先は、かなり広いホールになっていた。
3部屋にも区切れるようになっているこのホールでは、本社の全社員を集めた朝礼なども行われるらしい。

小笠原「新社屋は、これまでの本社と、研究所などがあった横浜事業所とを統合する形で作られたんですが、まだ横浜の方にも残っている部門がありまして。なので、プロジェクターを使ってあちらと合同ビデオ朝礼もしたんですよ」

ヒーローショーぐらいはできそうな広さのホール。

 

最高の品質をきちんと展示してみせるのも、最大のサービスの一環

さて、これで公開できる部分は一渡り見せていただいたことになるだろうか。
出来たてホヤホヤだけあって社内のどこもキレイだったのは当然として、やはり一番の見どころはエントランスの展示だ。

高品質な鉛筆の作り方や、通常の2倍以上のパーツで組み上げられた高機能シャープペンシルの全容を隠さず並べた展示は、「我々、こんな優れたものを作ってます!」と三菱鉛筆が胸を張って見せてくれているように感じられた。
自慢…というのとは違って、たぶんこれはメイカーとしての自負なんだと思う。

個人的に「社訓」とか「社是」とか「創業者の言葉」とか好きなので、ついじっくり読んでしまう。

大ホールにも飾られていた三菱鉛筆の社是は「最高の品質は、最大のサービス」。
その社是をはっきりと誰の目にも分かるようにしたのが、“プチ三菱鉛筆記念館”とも呼べるあのuni-Loungeなのではないか。

小笠原「お楽しみいただけたようで、なによりです」

いやー、堪能しました。ありがとうございます。

小笠原「あっ、そうだ。お帰りの際にはぜひ社屋東側の歩道『えんぴつロード』を見ていってください。地域の方の新たな憩いの場となってもらえるよう、ベンチも置いてあるんですよ」

この写真撮る直前に、カメラ抱えてた僕に地元の小学生と思しき一団が「これ鉛筆!」と教えてくれた。早くも根付いてるな鉛筆ベンチ。

おっ、これが新社屋オープン時にネットニュースにもなった『えんぴつロード』か。
これは、6台あるベンチが順番に

1.「鉛筆のスラット(軸材)」
2.「スラットに芯を入れる溝つけ」
3.「芯を乗せた状態」
4.「上から同じく溝をいれたスラットかぶせる」
5.「上から削る」
6.「下から削って完成」

5〜6番あたりの「鉛筆、できた!」感がすごく好き。

…と鉛筆を製造する流れに沿って並んでいる、というもの。
実はこの通り、建て替え前までは単なる道路だったのだが、意外と人通りがあって危ない、ということで三菱鉛筆が歩道を整備した、ということだそうだ。

いちおう敷地内ではあるが一般に開放されているので、uni-Loungeと違って誰でも見られるし、もちろんベンチも好きに座ってもいいやつだ。
地域の憩いの場として面白いし、さらには文房具マニアの聖地巡礼ロードにもなるんじゃないかなぁ。