文紙メッセとISOT、どちらも文房具・紙製品メーカーが自社の製品をバイヤーや小売店に「どうすかウチの子!」とアピールする場である。
しかし大きく違うのは、文紙メッセの方は文房具業界に関係ない、いわゆる”文房具好きな一般の人”にまで窓を開いて「どうすか!」と言ってる点だ。
そのため、ISOTではまず見られないワークショップや展示があったり、ブースで見た文房具を物販コーナーで買えたりする。もう完全に文房具のお祭りであり、超楽しいのである。

コクヨのデザインアワード展示

かなり大きく取られたコクヨブースでは、新商品の紹介などほぼ無し。
じゃあその大きい空間で何をやっているかと言うと、コクヨが2002年から開催している『コクヨデザインアワード』(文房具のアイデア・デザインコンペ)の受賞作品を展示していた。

美術館のような雰囲気のコクヨブース展示

コクヨデザインアワードといえば、『カドケシ』をはじめ様々な入賞作品が製品化されてきたことでも知られているアワード。
それだけに、毎年気合いの入った新しい文房具のアイデアが寄せられているのである。

2011年の受賞作『MAKINO』。食品ラップのような長いロールノートだ。
2013年グランプリの『ガリボールペン』インクが減ると当たりが分かる。
製品化が決定した『マンガムテープ』は2016年受賞作。展示中も子供ウケが異常に良かった。

面白かったのは、小学生の子供たちが「うわ、これ売ってへんの?欲しいわー」「あれ、なにが面白いん?アホみたいやん」などと大きな声でやたら正直な感想を言い合っていたことだ。
アワードの審査でもここまでド直球な意見は出ないだろうから、それを聞いているだけでもなかなか楽しめた。

帽子作りワークショップは見る限りどの回も盛況だった。すごい楽しそう。

で、その子供たちはそのまま展示の近くに設置されたワークショップコーナーに吸い込まれて、測量野帳のカスタマイズや、テープのりのドットライナーを使った帽子作りなどに興じていた。
子供はワークショップで遊んで、その間に親が他のブースを見て回る、という効率的な楽しみ方をする親子文具ファンも多くいたようだ。

 

ワークショップ全般、大盛況。

ともかく、ワークショップや体験コーナーを展開しているメーカーブースはどこも大賑わい。
開場して1時間後にはもう当日分の席が全て埋まってしまった、というところもあったぐらいだ。

画材メーカーのターナーでは、コルクボードを額縁に見立てての塗装ワークショップ。女子人気がやたら高い。
ソニックでは、新製品の鉛筆削り『トガリターン』に夢中になって、立て続けに削ってる子供を何人も確認。

そして、他の文房具関連展示会ではまずお目にかからないなー…というワークショップのひとつが、日本ペン回し連盟のプロスピナー(プロがいるのか!)指導によるペン回し体験会である。

「あらやだ、ペンがどっか飛んじゃうわ」と笑うおばちゃん。でも最終的に一回だけは回すのに成功していた。

バランスを調整されたペン回し専用ペンを使い、参加者のレベルに合わせた技術指導を行ってくれるということで、こちらもなかなかの盛況。
すでにプロ並みの技術を持つ中学生から、「子供が家でやってるのを見てて、わたしも回してみたかったの」と語るおばちゃん、さらには別のブースに立っていた文房具メーカーの人間まで、みんなが気軽に参加していた。

 

会場ではペン回し世界チャンピオンによるペン回しショーが行われていたほか、体験会でもお願いすればその超絶ペン回しを見せてもらえた。
さすがにチャンピオンの技は圧倒されるばかりで、見終わった後はただただ「すげぇもん見たな!」という感想しかない。

 

学生と文具メーカーのコラボ展示

会場のほぼ中央には、技術系専門学校であるHAL大阪校と文紙メッセによる産学連携企画コーナーが設けられていた。
デザイン学科の学生が「文房具の販売促進ツールを考える」という企画で、既存製品に付加価値をプラスするアイデアや新しい店頭装飾など、「へぇー!」と思わされるものが展示してあった。

極太チョークが彫刻素材に変身。

例えば、黒板用品メーカーの馬印×HALは既存の極太チョーク(直径25㎜!)を書く用ではなく彫刻の素材にする、というアイデアを提案。

チョーク、意外に繊細な彫り込みが可能だ。
子供でもサクサクと彫れる。焼石膏製なので粉じんも人体に害は無い。

スプレーで水を吹きかけてチョークを脆くすることで、小さなヘラでもサクサクと彫ることができるようになる。
馬印の極太チョークは焼石膏製なので、考えてみればこれも石膏彫刻の一種。なるほど言われてみれば、という感じだ。

カラフルに輝く店頭ディスプレイ。
軸から光が透けて、確かにステンドグラスのような美しさ。

サクラクレパス×HALの提案は、人気のボールペン『ボールサインノック』用の店頭ディスプレイ。
全40色のカラフルなペンをきちっと配置したLED内蔵パネルは、ステンドグラスをモチーフにしたとのこと。
クリアボディにインクが透けて見えるペンのデザインが活かされており、これが店頭に置かれていたらうっとり見ちゃうだろうなー、というぐらいの出来になっている。

 

展示で見たアレが買える物販ブース

文紙メッセならではの楽しみと言えば、さっき展示で見て「これ、いいなー!」と思った製品がすぐに購入できる物販ブースだろう。

開場直前の物販ブース群。この10分後にはもう写真も撮れないぐらいの賑わいに。

各メーカーともに文紙メッセ価格の特別割り引きを行っていたり、通常は店舗で売っていないノベルティアイテムを特別に売っていたりと、まさにスペシャルセール連発。
大量の紙袋を抱えてホクホク顔のユーザーがあちこちで見られた。

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最近は、地方でも一般ユーザー向けの展示会(大手文房具店主催のイベントなど)も増えてきたが、文紙メッセはやはり規模が大きい。なによりこのお祭り感は他にない楽しさだ。
来年度の開催日程はまだ未定のようだが、決まり次第、スケジュール帳にチェックを入れておくことをオススメする。