森市文具概論

【特集 ISOT2017】優しいふせんと繊細すぎるテープ

  • 2017年07月18日

今年も俺たちの夏フェスがやってきた。
そう、アジア圏最大の業者向け文房具商談会=ISOT(国際文具・紙製品展)のことである。
7月5日から7日までの3日間、東京ビッグサイトに最新の文房具と紙製品がぎっしり集まり、さらには今年度の文房具大賞もここで決まる。文房具好きなら外せない、年に一度の文房具フェスなのだ。

『森市文具概論』では、会場内で展示されていた最新文房具の数々がどうスゴいのか、どこが新しいのかレポートを、を金曜日まで短期集中で連載します。
今から紹介する文房具を今後もし文具店で見かけたら、ぜひ手にとってもらいたい。本当にスゴいから。

まず連載第一回は、紙製品系を中心にお伝えしたい。

 

伝言を柔らかく伝えるふせん

近年ブームとなっている「ふせんノート」(学習内容をふせんに書いてノートに編集する学習法)の専用ふせんを発売して話題となったクラスタージャパンのブースは、今回も人の途切れない人気ぶり。

その中でも新製品として展示されていたのが『#カワイク伝わるふせん カドマル』だ。
従来のふせんはどちらかというとシャープなイメージで、ビジネス用という感じがある。
なんかそれだと優しさに欠けるし、雰囲気が良くない。

じゃあ、ふせんの何が問題なのかと言うと、四角いからイカンのではないか、と。
ふせんのカドを落としてカドマルにすれば、もうちょっと伝言のやりとりもファニーで柔らかい感じで伝わるんじゃないか、と。
…正直、その仮説と検証が正しいのかどうかはよく分からない。が、実際見ると確かに「角が丸いふせん」って思ったより優しいイメージだ。

これなら「校正、15時までって言ってたけど12時までの間違いでした」とか「月曜朝イチに先方に持って行く資料なので、土日どちらか出てきてもらっていいですか」といった内容も優しく伝わるんじゃないか。保証はしないけど。

また、ふせんの糊部分が全体の2/3とかなり大きいので、勝手に剥がれて紛失する危険性も少ない。
「おい、土日出勤してやってくれって伝言しといたろ!」「いや、見てないよ?剥がれてどっか行ったんじゃない?」というトラブルも未然にふせいでくれるはずだ。(別のトラブルは生むだろうが)

もうひとつ新製品として展示されていたのが、スルスルとした感触で厚手の上質紙を使った『なめらかに書けるふせん』だ。
デザインフィルからも以前に上質なMDペーパーを使ったふせんが発売され人気となっていたが、こちらも万年筆などをつかってなめらかな筆記感を味わえる仕様になっている。
ゆったりとした気分で穏やかに伝言を残したいならこちらもオススメだ。

 

繊細すぎるテープの迫力

昨年からISOTに参戦しているフォーワテック・ジャパンだが、実のところ前回ISOTではさほど目立った印象は無かった。
が、今年はブースがやたらと人目を引いていた。

あのフワフワとした、ひらひらとした、キレイで繊細な感じのヤツはなんだ?という感じでみんなついつい目をやってしまうのである。
あれ、ディスプレイだと思うじゃない?製品だとは思わないじゃない?

それがまさかの、型抜きを施したPPテープで、れっきとした製品だというじゃない。
展示してあるのはフォーワテックがPavilioというブランドで展開するレーステープの新製品、植物柄の『BOTANICAL』シリーズである。
近年、マスキングテープなどでも型抜きテープは色々と発売されているが、ここまで繊細なものはあまり見られない。

フォーワテックジャパンの方に「これ、レーザーで抜いてるんですか?」と聞いたら「いや、ダイカット(金型で抜く方式)です」との答えが返ってきて、さらに驚いた。ダイカットで粘着するテープをこれだけ抜くのはかなり難しそうだ。
「作り始めた頃は20個作って19個失敗でしたが、最近は半分ぐらいの失敗で済むようになりましたよー」と陽気に言われてまた驚いた。それ、歩留まりひどすぎないか。

こちらはマスキングテープのシリーズ、『STANDARD』と『ARABESQUE』。
見ていると気が狂いそうな繊細さである。どういう技術で作ってんだ、これ。

もう一つこちらのブースで面白かったのが、シール系のブランドHARULABOで参考出品されていた『1枚ずつ切り離して使えるタイルのようなステッカー』。

ぬめっとクリアな質感で、貼るだけで厚みのあるガラスタイルをはめ込んだような見た目になる。
「DIYでおしゃれな部屋に改装したい」という需要にかなりハマりそうだし、発売されたら間違いなくヒットすると思う。

 

布デコテープで簡単カスタム

紙製品といいつつ、今度はちょっと毛色の違うテープを紹介したい。
手芸用品としての布デコレーションテープである。

手芸用品メーカーのKAWAGUCHIが展開するのは、布に貼って使う『NUNODECO』シリーズ。
カラフルな布製のデコテープを衣類に貼ってアイロンをかけると、熱溶着して洗濯にも耐えられるようになるというもの。

もともとは、テープに名前を書いて子供のカバンなどに貼る「名前シールテープ」として販売されていたのだが、ユーザーに聞き取りすると、どうもデコレーション用途で使われているシーンも多いっぽいぞ?ということで、かわいい柄たっぷり(現在は60柄)でシリーズ展開することにしたそうだ。

シャツの襟ラインやポケット、袖口なんかも簡単にデコれてオリジナルが作れるのがかなり楽しそうだ。これはおしゃれかわいい。
貼ってアイロンするだけの手軽さに対して得られるリターン(見た目の代わり映え)が大きいので、個人的にもこれはかなりやってみたい。
もちろん洗濯にも普通に対応しており、強度的な心配はあまりしなくて大丈夫とのこと。

別口で面白かったのが、KAWAGUCHIが以前より展開している上質な手芸用品ブランド Cohanaだ。

Maid in Japanにこだわった伝統的な匠の技と手芸メーカーらしい可愛らしさを合わせた、ラグジュアリー手芸用品といったところか。
上写真は、工芸品であるトンボ玉(模様の入ったガラスビーズ)を使ったまち針。小さな飴玉のようでキュンとくるルックスだが、お値段は3本アソートで1200円+税とかなりのラグジュアりっぷりである。寡聞にして「贅沢なまち針」というカテゴリが存在することに驚いた。

例えばシャツ一着仕立てるのに使っているまち針が100本600円か3本1200円かなんて、仕上がったシャツを見ても他人からは絶対に分からない。だからこそ逆に、そういう部分で自分のためだけにルックスの良い高級品を使うというのは、本当に贅沢で気持ちが良いものだと思う。

こちらは、同ブランドの新製品として展示されていた『真ちゅうの竹尺』。
ネーミングからして破綻してないかという気もするが、文字通り真鍮で作った竹尺っぽい見た目のものさしだ。
竹尺のふっくらした柔らかい形状と真鍮の鈍い輝きがやたらと格好良いので、多少のネーミング的混乱は無視してでも欲しい。