皆さん、ごきげんよう。文房具ライターのきだてたくです。ゆらゆらしてますか?

出だしから座ったままで失礼します。

まさかと思いますが、ゆらゆらしてないですか?座面が360°全方位にゆらゆら動いてリラックスできる、コクヨのオフィスチェアー『ing』、最高ですよ。ゆらゆら。
僕も会社用の椅子は『ing』にしてずっとゆらゆらしてるんですが、自宅用にももう一脚欲しいんですよ。ゆらゆら。もらえないかなぁ。ゆらゆら。

取材に来て早々5分で、すごい怒られてる感の強い写真が撮れてた。

コクヨマーケティング 駒野(以下 駒野)「……すいません、そこに座ってゆらゆらしていただく分には大丈夫ですが、差し上げることはできないです」

……そうか、無理ですか。ゆらゆら。

コクヨマーケティング営業の駒野さんにご案内いただきます。よろしくお願いします。

さて、今回は『ing』をおねだりにきたわけではない。くれるなら欲しいけど。
2018年2月にリニューアルオープンしたばかりのコクヨ霞が関ライブオフィスが「なんかすごい」というザックリした話を聞いたので、何がどうすごいのかよく分からないまま見せてもらいに来たのだ。

というわけで、場所は千代田区の霞が関ビルディング内。

今年でなんと満50歳の霞が関ビルディング。

霞が関ビルと言えば、日本最初の超高層ビルとして『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』のポスターでバイラスの頭がブッ刺さってたり、『ウルトラマン』で亡霊怪獣シーボーズが宇宙に帰りたくてよじ登ったりと、オールド特撮ファンにとっては、やたら怪獣に壊されてる印象が強い。
実際、これまでに何回ぐらい建て直しされているのだろうか。そのたびに中で働く人も大変だったろうに。

駒野(無視して)「では、さっそく社内をご案内しますね。こちらへどうぞ」

 

ところでライブオフィスってなに?

まず通されたのは、コクヨの歴史がひと目で見渡せるヒストリーボードだ。

エントランスから続く廊下には、コクヨ創業時(1905年)から現在までの歴史がずらり。

冒頭で「よく分からないまま来た」とド正直に書いたのだが、そもそも“ライブオフィス”という言葉からしてよく分かってないのだ。
これはどういうものなのだろうか。

駒野「弊社は文房具・椅子や机などのオフィス家具といった様々な事業があるんですが、それらの製品を社員自らがオフィスで使って、コクヨが実際に抱えている働き方の“課題”を解決する姿をご体感いただく…という考え方で作られたのが、ライブオフィスです」

なるほど、オフィス兼ショールームというか、動物園みたいな感じなのかも。パンダのシャンシャンが笹を食べてるのを見物する感覚で、オンシャのシャインシャインが仕事をしているところを見られる的な。

駒野「……話を続けますね。で、1997年にはこの霞が関ビルでライブオフィスをスタートさせます。これは日本初のフリーアドレス制など、当時としてはかなり新しい取り組みを含んだものでした」

今でこそ色々な会社で導入されているフリーアドレス制(決まった自席が無く、社内のどこで仕事をしてもいいシステム)だが、それにしたって97年は早い。20年以上前のことだ。

何度も繰り返しアップデートされてきた霞が関ライブオフィス。2008年の時計の文字盤型デスクは今見るとやたら味わい深い。

駒野「早過ぎた…とも言えますね。あの頃はまだWi-fiも無いし、ノートパソコンも今ほど性能は良くなかったし。フリーアドレスとして完全には機能していなかったと思います」

あ、そういう「ダメだった話」もしてもらえるのか。

駒野「時代に合わせて様々な働き方を実験して繰り返しアップデートする、というのもライブオフィスの役割なんです。なので、失敗ももちろんあるし、それはきちんと公開します」

なるほど、失敗があるからこそアップデートもある。まさにワーキングスタイルの実験場となっているのだ。

 

ライブオフィス見学ツアー、スタート

ということで、ここからいよいよ本格的に見学ツアーのスタート。
この霞が関ライブオフィスには、都内2つのコクヨオフィス(品川・霞が関)のうち、営業部門であるコクヨマーケティングと、メーカー部門で営業と関わりの強い販売企画が入っている。

ライブオフィス見学ツアーはここからスタート。

駒野「こちらは人事・総務・経理などの部門が働くエリアです。いちおう「このへんが人事」「このへんは総務」というエリア分けはありますが、管理部門としては初めてフリーアドレス制を導入しています」

フリーアドレス制を導入している企業でも、社内の管理部門は固定席なのが普通だ。
なんせ書類が大量に飛び交う業務だけに、毎日座席が変わるフリーアドレスだと書類が手元に溜め込みにくくて面倒くさそう。確かにこれはちょっと珍しい。

駒野「逆に、固定席だと逆に無駄な書類を溜め込みすぎて掃除をするのも大変、ということがあるんです。なので、むしろフリーアドレスによってクリーンオフィス化できました」

人・総・経エリアや、続く発注部門の固定席エリアを抜けると、ぱっと視界の開けた場所に出た。

窓の外には皇居&国会議事堂も見える。絶景系オフィス。

駒野「霞が関ライブオフィスは人員数460名のうち、7割弱の席がフリーアドレスとなっていまして…ここは私ども営業部門とインサイドセールス、メーカー販売企画を合わせたフリーアドレスの中心エリアとなります」

ところで、気になったのがオフィススペースと通路を隔てる仕切り棚。
妙に高低があるし、低い部分には手触りのいい敷物が敷かれているのだ。

なんかフカフカした仕切り棚。ヤンキー車のダッシュボードみたいですね、とはさすがに言えなかった。

カチッとシステマチックなオフィスの中で、ここだけ自宅感がすごい。
これまで取材でいろんな会社にお邪魔したことはあるが、このフカフカ感はあまり見たことないビジュアルだ。

『こんな感じで」といきなり腰掛けて同僚に話しかける駒野さん。同僚の方、驚かせてすいませんでした。

駒野「これはですね、こうやって座って話ができるんですよ。 井戸端会議じゃないけど、このスペースだけで済んじゃう場合もけっこうありますね」

そうか、この棚は棚だけど、通路の仕切りであり、かつ椅子でもある、と。

駒野「あとは、棚の上に自分のものを勝手に積み上げないように、という意味もあります」

フカフカしているところに書類などを積み上げるとシワがいきそうでなんとなくヤだなー、という心理まで利用した仕掛けなのだろうか。おそるべし、霞が関ライブオフィス!

 

自律的にシュレッダーゴミが片付くシステム

ところで、オフィス内にあるシュレッダーになにか貼り付けてあるのに気がついた。
どうやらシュレッダーゴミを入れるゴミ袋と…オフィス内の地図?

社内のシュレッダーは、ゴミ捨てが自律的に行えるシステムに。

駒野「ゴミがいっぱいになったら、各自でゴミを捨てましょう、というシステムになっています」

なるほど、この地図はどうやら「ゴミの詰まった袋はここに持ってきてね」というゴミ集積場の場所を示しているようだ。
単純なようだが、今日からここで働くという新入社員でも間違いなくシュレッダーゴミの処理ができるようになっているわけで、これなら「どうしたらいいか分かんなかったんで」という言い訳と放置は無くなるはず。
「ゴミ袋が無くなったら総務まで」という一文まで添えてあって、徹底してる。

シュレッダー脇には粘着のコロコロまで完備。至れり尽くせりとはこのことか。

駒野「ちなみに、ゴミ捨て時に散らばったシュレッダーくずを掃除するように、近くにコロコロも置いてます。たまに部長職の人間もコロコロしているのを見ますよ」

すごい。至れり尽くせりだ。
福利厚生がしっかり行き届いた会社を「至れり尽くせりだな」と評価することはあるが、まさかシュレッダー周りに「至れり尽くせり感」を感じるとは思わなかった。

 

ということで、今回はここまで!
次回は、霞が関ライブオフィスのコンセプトとなっている「セッション(協業)」を実現したエリアや、場+ツール+運用で働きやすい環境を実現するオフィスの提案をご紹介します。
コクヨ霞が関ライブオフィス探検、後編をお楽しみにー。