暑い。夏真っ盛りですね。文具ソムリエールの菅未里です。

クーラーや扇風機で体を冷やすのもいいですが、こんなときは、目や耳でも涼をとりたいものです。たとえば、風鈴。ガラスの涼しげなルックスや澄んだ音色は、気持ちを涼しくしてくれます。風鈴がチリンと鳴っても実際の気温は1℃も下がらないはずですが、不思議ですね。

実は、文房具でも涼をとることはできるんですよ。それがこの……。

おっと、お客様です。少し慌てた様子の、30代くらいの女性の方です。どうされましたか?

ふむふむ、旦那さまのご実家に行くのに、義理のお母さまへの贈りものを用意したい。ただし、すでに夏のお中元として食べ物を送ってしまったので、食品は避けたい、ということですね。そこで、お義母さまが文具好きであることを思い出して、ご来店されたと。ご予算は……1万円くらい。

なるほど。それでしたら、ぴったりのものがあります。この、「てとひ」のガラスペン、「mit」です。

……え、ガラスペンは定番すぎるから避けたい? なるほど、それはたしかに、そうです。

私が冒頭でご紹介しようとした「涼をとれる文房具」とは、他でもないガラスペンのことでした。ペン軸からペン先までがガラスでできたガラスペンは見た目が涼しげで、毎年、夏には大人気になるんです。インクは普通の万年筆用インクが使えますから、敷居も低い。

文具好きのお義母さまは、すでにガラスペンは持っていそうだから避けたいということですね。でも、「mit」なら大丈夫でしょう。

なぜなら、こんなに小さいんです。ほら、可愛いでしょう?

目の色が変わりましたね。手のひらに収まるくらいの小さなこのペンには、誰もがときめくに違いありません。涼しげで、その上可愛い。これほど夏に適した文房具があるでしょうか。

「てとひ」のガラスペンは、軽井沢にある工房で一つひとつ、ドイツで修業を積まれた女性職人さんの手によって作り出されています。そう聞くと、ますます涼しくなりませんか?

小さいから、インクに漬けづらそう? ご心配なく。お尻(?)についているこの紐を持って吊るせば、問題ありません。ゆらゆらして、これまた可愛いですよ。もっとも、あまり深いインク瓶だと使いにくいのも事実なので、浅めの、エルバンのインク瓶などいかがでしょうか。

インク溝がしっかりしていますので、インクの持ちもいいですよ。手紙の一文くらいならば、まったく問題ありません。

このペンを持って、夏の日が差す窓辺に立ってみてください。ペンの内部を通過した光が静かに、きらきらと広がり、涼しさを演出してくれるでしょう。日差しを爽やかな光に変えてくれるこのガラスも、実はちょっと特別です。素材は、しっとりとした色合いのガラスで知られる、ドイツはラウシャ村のガラスなんです。

あ、保存時はお買い上げになったときの箱に入れておいてくださいね。先端が折れては大変なので、立てるのは厳禁です。

mit」という商品名は「~と一緒に」という意味のドイツ語です。相手に寄りそう、贈りものにもぴったりですね。

眺めているだけで涼しくなる文房具、皆さまもいかがですか。

Werkstatt てとひ