スーツのボタンを、第二ボタンまでしめたお客様がいらっしゃいました。糊がきいたシャツにピカピカの革靴、髪はばっちり七三分けと、実に几帳面そうです。……テープ糊ですね。こちらになります。いろいろ取り揃えておりますが……予算オーバー? ああ、確かに。テープ糊は使いやすいのですが、ちょっと高いですよね。では、100円前後から選べるスティック糊はいかがでしょう?
……ダメ? カドが塗れなくてイライラする? なるほど! さすがです。
解説しましょう。断面が〇になっているスティック糊は、封筒のフタ(ベロ)のカドの部分まで糊をつけにくいんです。糊をつけようとすると、机にまでついてしまうじゃないですか。
もちろん下に別の紙を敷いて塗ってもいいんですが、いちいち手間ですし、フタの縁が、はみ出た糊で汚くなります。几帳面な人ほど気になるポイントです。テープ糊ならカドまで塗れますが、いかんせん高い。
そこで、発想の転換です。〇をやめて△にすればいいんです。はい、セキセイ株式会社の「デルタ® 三角のり」。
〇を△に。たったこれだけの工夫で、角がこんなに塗りやすくなります。もちろん、広く塗ることもできますよ。
それに、断面が△なので、集中力が要求される糊付け作業の最中に転がってイライラ……ということもありません。
素晴らしいのは、これだけ使いやすいのに、お値段はスティック糊らしい150円+税という点です。まあ、特別な機構を備えているわけではないので当然ともいえますが、ありがたい話です。マジメであることも大事ですが、頭が柔らかくなければ難しかったアイデアですね。