壁にマステを貼る専用プロジェクター
ISOTは業界関係者限定のイベントなのにも関わらず、毎年バイヤー女子やメーカー女子が仕事を忘れてキャーキャーと群がっているのが、マステ界の盟主・mtのブース。
今年もハロウィンやクリスマス新柄などを公開してキャーキャー言われていたのだが、個人的に注目したいのはそこじゃなくて、mt初の「電気製品」である。
『mt nazorie』は、マスキングアートを楽しむためのプロジェクター組み立てキット。といっても作業は段ボール製のボディを組み立てて、中に投光器(電池ボックス・基板・LEDライトで組み立て済み)を納めるだけ。
最後に電池と投影したいフィルムをセットして電源を入れれば、この通り。
壁面に向けて投影すると、フィルムの柄が映し出されるというもの。プロジェクターと言ってみたものの、どちらかというと懐かしの『小学○年生ふろく スクリーンかげえセット』みたいなものだ。
で、この投影された柄に合わせて壁にマステを貼っていくと…
こんな感じで、文字やちょっとした絵などのマスキングアートができあがるというもの。
こういうの、自分でいちから考えて貼ろうとすると、「どんなデザインにしようか」「サイズ感がどうなるのか」など意外と難しいのだ。このnazorieならその辺りに悩むことなく、さらに貼る前から完成形がどういう感じになるか目に見えるので、分かりやすい。
シンプルながら、さすが業界の先行者として「ユーザーってこういうのに困ってるよね」的なケーススタディを溜め込んでいるmtならではのアイデアだと思う。
かっこよすぎるポップアップカード
ISOTで毎年決められるアワード、日本文具大賞のデザイン部門で優秀賞を獲ったポップアップブックが、ベトナムのPAPER ART VIET LLCと日本の小西印刷のコラボ『Jurassic Book』だ。
思わず「おおー…」と息をのむかっこよさなので、ぜひ動画で見てもらいたい。
ページをめくるたびに恐竜の全身化石がポップアップするもの。
こんなの小学生時代に見てたら、指の指紋が無くなるまでめくったりとじたりしてるに違いない。
こちらはミラノ大聖堂(ドゥオーモ)のポップアップ。立ち上がりの美しさだけでなく、細かい切り抜きも繊細にしてあって、とてもいい。
PAPER ART VIET LLCは格子に組んでポップアップさせるのが得意なようで、招き猫のような球体がベースになるような立体物も「なるほど」と唸らさせる作り方をしていた。
狭すぎるニーズ!ベンゼン環が書ける化学系ルーズリーフ
日めくりカレンダーの紙で作ったノート『365 notebook』が人気の新日本カレンダーでは、特殊すぎる用途のルーズリーフを発表していた。
東京理科大学の文具研究同好会とのコラボで生まれた、史上初の“ベンゼン環を速くキレイに書く”ためのルーズリーフ『化学系ルーズリーフ』である。
…なんだそれ。
化学の授業で書いた記憶がうっすらあるなー…という正六角形のベンゼン環。あれを書くために、横罫に加えて斜めの補助罫が入っているというもの。
新日本カレンダー側から文房具マニア揃いの理科大文具研究同好会に声がけして、誕生した理系文房具だそう。
恥ずかしながら、これまで自分の人生において「ベンゼン環を速くきれいに書きたい」と考えたことはない。が、ベンゼン環を書くことに対してアツい欲求を持っている人たちがいて、さらに彼らが文房具好きの情念を併せ持っていると、こういう製品が生まれる、ということは理解できた。
そもそも紙に文字さえ書ければ仕事として充分、というライターとしては、自分用にカスタムされた機能的ルーズリーフが作れるということ自体がかなり羨ましい。
もうひとつ、新日本カレンダーでグッときたのが、日めくりの『宙(そら)の日めくりカレンダー』。
日めくりに月齢表示が入っているカレンダーはよくあるが、こちらは月の満ち欠けをリアルなイラストで大きく表示しつつ、天体イベントもぬかりなく入った「天体好きにマスト」なカレンダーである。
2018年1月1日。もうちょっとで満月。
1月2日。今日は満月が地球から最も大きく見えるスーパームーン。
1月3日。うっすら何かが透けて見える。
1月4日。今日はしぶんぎ座流星群。
めくって「あ、今日が流星群か」と気づくよりも、ちょっとずつワクワク感が高まるのがとてもいい。薄く透けて見える日めくり用紙の特性を活かした演出がステキなカレンダーだ。