火曜日からお届けしてきたISOT(国際文具・紙製品展)2017レポートも本日が最終日。この夏以降に登場する予定の新製品の中から注目のアイテムをたっぷりと紹介してきたが、皆さん、気になるモノはあっただろうか?

短期集中連載の最後は、中小文房具メーカーが集まって縁日のような活気をみせたNEXT switchブースを中心に、面白かったアイテムを紹介していこう。

 

金魚が!ネコが!吹き出しが立体化!

いつもカミテリアブランドとして「マジか!」と驚くギミック満載の紙製品を展開するペーパリーブースだが、今回はNEXT switch枠で出展。とはいえ変わったのはブース枠だけの話で、展示内容は例年通り「マジか!」な製品が大量ぞろいである。

まず最初に目に付いたのは、カミテリアの代表作といえる、丸めて立体になる伝言メモ『ku.ru.ru』の新作(参考出品)。歌川国芳の「金魚づくし」を立体化した『ukiyo-e 参』だ。

これまでもku.ru.ruのukiyo-e(浮世絵)シリーズは富嶽三十六景や東海道五十三次をジオラマのような迫力ある立体にしてきたが、シリーズ第三弾は一転してかわいさ全押し。前作までの「ここをこう立体化したか!」という驚きは少ないシンプルな作りだが、その分、手軽に国芳金魚の愛らしさを楽しめるようになっている。

ku.ru.ruとは別ラインの立体メモとして新たに展示されていたのが、SNSのスタンプのような気軽さでワンメッセージを伝える『すたんぴ!』。
「ごめん」「ありがとう」など、開く前から中にどういうメッセージが書かれているのか分かるようになっているのがポイントだ。
というか、こんなションボリしたネコが「ごめん」って言ってきたら、中に何が書かれていようと許すしかないだろう。「なつのボーナス、だせませんでした。ごめんね。しゃちょうより」と書いて社員ひとりひとりの机に置いておくとか、そういう悪用例が出ないことを祈りたい。

もうひとつ立体モノとして良かったのが、立ち上がるふせん『POPit MEMO』。
地図の上にマーカーとして貼ったりする人気のマーキングふせん『POPit』のバージョンアップ版で、こちらは白い面にメッセージが書けるようになっている。
鉛筆や水性・油性インクなど多様な筆記具に対応していることも含め、大幅に使い勝手がアップした印象だ。

こちらは従来になかった新しい文房具と言える、『フセンのゴミ箱』。はがして不要となったふせんを一時的に溜め込んでおくための、廃棄ふせん保管庫である。

出先で資料や手帳からふせんを剥がしていると、ふとその処理に困る時がある。
そのまま捨てられればいいが、周囲にゴミ箱が見当たらなかったり、書き込みがしてあって気軽に捨てられないふせんが出た場合は持ち帰るしかないが、一時とはいえポケットや筆箱に突っ込んでおくのもなんだかイヤな感じだ。
そういう時に、この『フセンのゴミ箱』を手帳の中表紙にでも貼っておけば(裏面はふせんのような再剥離シールになっている)、とりあえず一時的なふせん捨て場として機能するという仕組み。

全く新しいアイデアなので、店頭でどれだけ使い方を説明できるかがポイントになってくるだろうが、聞けば「なるほど!それいいな!」とヒザを打つユーザーもいそうだ。

 

ふせんを持ち歩く専用ケース

NEXT switchには個人で立ち上げた”ひとり文具メーカー”が多く参加している。
その中でも、広げた時の形状にこだわった『ココロ贈る祝儀袋』などアイデアに満ちた製品で知られているひとり文具メーカー・ベアハウスが今回打ち出してきたのが、ふせん持ち歩きの提案だ。

参考展示の『フセンタチノイルトコロ』は、様々な形状のふせんを汚さず持ち歩くための専用ケース。
いわゆる一般的な帯型のふせんをペンサイズにまとめて持ち歩ける筒タイプのものと、メモふせんや台紙付きのダイカットふせん用の平形タイプ、2種類のPP製ケースが展示されていた。

ふせんは意外と持ち歩きが難しい文房具のひとつで、裸のままで筆箱に放り込むと汚れたり型崩れしたりと、面倒なことになりがち。
近年、ふせんノート学習や辞書ふせんといったふせんを多用する勉強法が提示されるなど、ふせん文化も多様化してきている。ノマドワーカーなど外でふせんを使いたい派のユーザーも多いことから、ふせんの持ち歩きは今後もいろいろなアイデアが出てくるジャンルだと思う。

 

シートベルト素材のペンホルダー

昨年、優美な柄の『飾り原稿用紙』でひとり文具メーカーとして初の快挙である日本文具大賞グランプリを獲得したあたぼうステーショナリーの新製品は、1本挿しのペンホルダー。

首からさげて使うペンホルダー『ペネック』は、なんと自動車のシートベルトと同じ素材で作られており、スルッと気持ちの良い滑らかさでペンが収まるようになっている。軸の細い太いを問わずホールドも良く、さらに素材的に頑丈さは保証済みだ。
ただ、見た目的にかなり無骨なので、そこはユーザーを選ぶかも知れない。女性などは首からさげるより、カバンの中につりさげてお気に入りの1本を持ち運ぶといった使い方が良いかもしれない。